名古屋大学 Nature論文撤回 その2

研究不正

こんばんは。はーどこあです。
名古屋大学のNature撤回の件、調べれば調べるほど面白い内容でしたので続けます。

前回の繰り返しになりますが、名古屋大学の伊丹教授らの論文「リビング縮環π拡張重合によるグラフェンナノリボン合成」は、2019年6月に科学誌『Nature』に掲載されましたが、使用したデータに疑義があることのことで、2020年11月25日付で当該論文は取り下げられています。

撤回文は質量分析にあたって精密質量の計算前提が間違っていましたということですので、質量分析のセクションをまずは分析します。論文中ではフェナントレンとベンゾナフトシロールをカップリング・重合させてGNR2というグラフェンナノリボンを合成しており、著者らはMALDI-TOF massでGNR2のn=21~31体を検出しています(Extended Data Figure 1a in Nature 2019, 571, 387)。

GNR2

MALDI-TOF マトリックスはDCTBでイオン化補助剤は無しで測定しているようです。合成ポリマーでイオン化補助剤なしで測定できるという時点で信じがたいのですが、Extended Data Figure 1bを見てみると、n=30の化合物の計算値が間違えています(ここだけm/zが10ずれています)。そして間違えた計算値に対して、なぜかMALDI-TOF Massの実測値が一致しています。

nCHExact Mass
(小職計算値)
論文内
計算値
論文内
実測値
216237248205.66538205.66638205.6667
226527588587.93138587.93248587.9359
236817928970.19748970.19858970.2478
247108269352.46359352.46469352.4592
257398609734.72959734.73079734.6991
2676889410116.995610116.996810116.9099
2779792810499.261610449.262910449.2512
2882696210881.527710881.53910881.5167
2985599611263.793711263.795111263.7934
30884103011646.059811636.061211636.0116
31913106412028.325812028.327312028.2843

これってどういうことでしょう。。。
まだまだ続きます。